フランス情報メディアのET TOI(エトワ)

フランスと日本をつなぐ

1€=

新規登録

仏会計検査院、社会保障会計の赤字増大を問題視

会計検査院は29日、社会保障会計に関する報告書を公表した。収支の悪化を問題視し、支出削減に向けた努力を呼びかけた。

報告書によると、社会保障会計の赤字額は2023年に110億ユーロ弱となり、新型コロナウイルス危機時に比べれば縮小したものの、当初見通しを上回る額にとどまっている。このままだと赤字額は増大を続けて、2027年には170億ユーロを超える水準に達する。会計検査院は、この推計が、医療支出の年間伸び率を3%と仮定してなされていることを挙げて、人口高齢化により医療費が増大する傾向にあることなどを考えると、ごく楽観的な予測であると指摘し、さらに赤字が拡大する可能性を示唆した。

会計検査院は、2027年時点で赤字額が過度に増大するなら、社会保障会計の健全性は大きく損なわれるとし、収支改善の努力が不可欠であることを強調した。報告書は、社会保険料の各種減免措置(残業手当や特別賞与、外食券など現物供与に係る減免措置等)の規模が年間で180億ユーロ(2022年実績)に上ることを挙げて、節減の余地が大きいと指摘した。また、傷病手当金(2022年実績で120億ユーロ)についても、制度の見直しによる節減の余地があると指摘。最大支給期間を現行の3年間から2年間に短縮する、傷病手当金の支給が開始されるまでの待期期間を3日間から7日間へ延長する、などを可能な措置として提示した。

KSM News and Research