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製薬業界、生産移転回避に向けて欧州委に対応求める

世界の製薬会社が連名で欧州委員会に書簡を送付した。関税戦争の展望の中で、製薬部門が欧州にとどまる上での条件を提示し、欧州連合(EU)に対応を求める内容となった。仏レゼコー紙が16日付でその内容を報じた。

欧州委のフォンデアライエン委員長は去る8日に、製薬業界の代表を迎えて協議を行った。その際に出された要望が書簡には再録されたという。書簡には、ファイザー、イーライリリー、アストラゼネカ、サノフィなど、世界の製薬大手が揃って合流、中堅企業なども含めて、合計で32社が署名した。

業界側はこの書簡の中で、18社を対象にした調査結果に基づいて、このままだと、欧州内で予定されていた投資のうち、向こう3ヵ月間に165億ユーロ相当が域外への投資に切り替えられる恐れがあると指摘。この調査によると、EU内で2025-29年に予定されていた1648億ユーロの投資のうち、生産投資の最大85%(約506億ユーロに相当)と研究開発投資の50%(約526億ユーロに相当)が、関税戦争の影響で取り消される恐れがあるという。

業界側は、欧州市場の規模が、北米市場の規模と比べて相対的に小さくなってきた(現在は北米が世界市場の53.3%、欧州は22.7%)と指摘し、その原因として、イノベーションを薬価に反映させることに欧州が消極的であることを挙げて、その改善を要求した。さらに、行政手続きや規制が厳しいことも問題視し、法令の枠組みの改正努力を継続するよう求めた。さらに、知財権の保護強化も訴えた。

KSM News and Research