マクロン大統領はこのほど、パリ書籍フェスティバルを訪問した機会に、古本売買に係り著作権料を徴収する新制度の導入を予告した。著作権に付帯する新たな権利を導入し、その権利料を徴収する上での法的問題点について、文化省は近く行政最高裁(コンセイユデタ)に審査を請求する。
この件は、著作権者団体や出版業界が以前から要求していた。アマゾンのような大手プラットフォームが「新古本」とでも呼ぶべき書籍を大量に販売し、利益を侵食しているという主張が背景にある。調査によると、2022年には、古本の売買が書籍市場全体の20%程度を占め、3億5100万ユーロの売上高が達成されたという。古本売買から著作権を徴収するのは世界的に見ても珍しいといい、今のところ法的な根拠もない。政府の計画では、著作権に付帯する新たな権利を導入し、これを、古本の売買に係り徴収する。徴収は、レンタル及び複製に係る権利料徴収を代行する団体SOFIAが行う構想とみられ、徴収された権利料は、著作権者と出版社が均等に分け合うという。出版業界団体SNEは、権利料は1冊につき数十セントに過ぎず、小規模の古本商には適用を除外する措置も講じられると説明している。
欧州連合(EU)においては、出版社には、販売した書籍の転売を禁止する権利が原則的に認められていない。それでも、推進派は、古本取引から権利料を徴収することを妨げるものではないと判断している。新制度の導入は欧州委員会の承認を得る必要があるが、承認が得られるかどうかは確かではない。