欧州委員会は4月9日、AI(人工知能)の開発と利用を後押しする目的で、「AI大陸アクションプラン(AI Continent Action Plan)」を公表した。欧州連合(EU)がAI分野で世界をリードする地位につくことを目指して、インフラの拡充やAI利用の促進などに取り組む。
目玉となるのが、去る2月にパリで開催のAIアクションサミットの際に欧州委のフォンデアライエン委員長が予告したAIギガファクトリーの整備計画で、EU域内に5ヵ所を整備する目的で、関心表明の募集を開始する。欧州委によると、最新のAIチップ10万体程度を備えた大規模なインフラを整備し、AI開発に必要な計算力を確保する。総投資額は200億ユーロを予定。うち3分の2は民間部門の投資家に負担を求め、EUと誘致国が残りの3分の1を折半にて負担する。EUは既に、13ヵ所のAIファクトリーをスパコン網と連動する形で整備する取り組みに着手している。 欧州委はこのほか、AIを育てるために必要な、広範かつ高品質のデータの供給に向けて、データセンターの容量強化(5-7年後に3倍増)に取り組み、「クラウド・AI開発法」を2026年初頭までに制定して、開発者に対して、データへのアクセスをより容易にする法令上の環境を整備する。また、企業や官公庁によるAI利用の促進を図るために、戦略的部門を中心としてアルゴリズム開発を支援する。AI振興に対応するための人材とスキルの育成にも取り組む。