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DV殺人事件の裁判、被告人に終身刑

ジロンド県重罪院は28日、DV殺人事件のムニル・ブター被告人(48)に終身刑を言い渡した。22年間の減刑不可期間を伴う最高刑となった。求刑に沿った判決を下した。

この事件は、2021年5月にメリニャック市(ジロンド県)で発生。被告人は、DV被害を訴えて別居していた妻のシャイネス・ダウドさん(当時31歳)のもとに押しかけ、脚を狙って発砲して動けなくした上で、燃料をかけて火をつけて殺した。この事件は衝撃を与え、DV被害への対策を求める声が高まるきっかけとなった。特に、被害者が事件前に、3度目の提訴を行っていたのに、対応した警察官が正しい手続きを行わず、さらに、その警察官が自ら、DV事案で有罪判決を受けていた人物だったことも判明。こちらは今回の裁判とは別に、行政処分の対象となっている。

裁判で被告人の弁護団は、被告人の精神異常を強調し、殺害する意図はなかったとの主張を展開。フランスの刑法では、殺人を事前の意図のあるなしで区別しており、量刑も異なる。弁護側は、精神異常で判断力を失った被告人には殺人を計画する能力はなかったと主張したが、検察側は、社会にとって危険な被告人をできるだけ遠ざけることが必要だとして、最高刑を求刑。重罪院の裁判は裁判員制度の下で行われるが、判決では、精神異常を認めたものの、殺人を計画する能力はあったと認定、求刑に沿った最高刑の有罪判決を言い渡した。

KSM News and Research