フランス各地で22日に差別反対のデモが行われた。全国で100件を超えるデモがあり、内務省集計によると、合計で9万1000人程度が参加した。
今回のデモは、国際人種差別撤廃デー(21日)にあわせて、その翌日の土曜日を選び、差別反対のNGOによる連名の呼びかけで行われた。パリのデモには、警察集計で2万1500人、主催者側集計で3万人が参加した。終了地点のナシオン広場付近では、治安部隊が催涙ガスを使用する場面があり、多少の緊張も見られた。この際に2人が逮捕され、3人が負傷した。
今回のデモは、左翼政党「不服従のフランス(LFI)」の対応を巡る物議があり、成り行きが注目されていた。LFIは今回、ナチスドイツ時代のユダヤ人狩りを彷彿とさせるセンスのポスターを準備し、非難を受けて撤回したという経緯があるが、LFIを率いるメランション氏は、この件についての謝罪を拒否し、「自らを批判する者はすべて極右の回し者」といった類の論拠を展開している。デモを主催した人種差別反対のNGOの中にも一部、LFIを疎ましく思う空気が広がっている。LFIは今回のデモを、自らの主催であるかのように肩入れし、「人種差別反対」よりも「極右反対」に傾かせようとしており、それもNGOの側の反発を買っている。何よりも、LFIは、「パレスチナ支持」の立場から反ユダヤ的な傾斜を強めており、そこに付け入った極右RNは、「ユダヤ・キリスト教」的なアイデンティティの名の下にユダヤ人の保護を掲げるという、なんとも歪んだ構図が出来上がりつつある。「ユダヤ人差別反対」が「人種差別反対」から抜け落ちてゆくとしたら、この種のデモは糾合力を失い、存在意義も以前と同じではなくなるだろう。