アンティル諸島の海外県のバナナ栽培で用いられた農薬クロルデコンによる健康障害について、国に賠償責任を命じる判決がこのほど言い渡された。パリ行政高等裁判所が控訴審で判決を下した。
クロルデコンは1972年から1993年まで、海外県マルチニークとグアドループで使用されていた。クロルデコンの毒性により健康障害の被害を受けたと主張する住民ら1300人が国を相手取って訴えていた。高裁は、2022年6月の下級審判決を支持する形で、国の対応に過ちがあったと認め、ごく一部の原告に限り、国に賠償金の支払いを命じた。
クロルデコンの毒性については、使用許可が出された1972年より以前に、国は報告を受けていた。その後、1977年には米国が使用禁止を決定、スウェーデン(1978年)やドイツ(1980年)でも禁止が決まったが、フランスは対応が遅れた。使用禁止後も、国は禁止に実効を持たせる強制力のある対応をしていなかった。裁判所はこれらを踏まえて、国の賠償責任を認めた。
被害者への補償措置は別途、特別基金を通じて開始されている。これについては、制限が厳しく、申請に対して補償決定が少ないことを問題視する向きもある。今回の訴訟では、それとは別に、いつ病状が悪化するかわからない恐怖などに対する賠償が争われた。裁判所は、バナナ農園で就労し、前立腺がんを発症し、クロルデコンへの暴露との間で因果関係が確認された9人の男性についてのみ、5000ユーロから1万ユーロの賠償金の支払いを国に命じた。クロルデコンの汚染は飲料水などを通じて島民の90%に及んでいるというが、裁判所は範囲を限定的にした上で賠償を命じた。