マクロン大統領は5日夜、テレビ演説を放送し、ウクライナと世界情勢について見解を表明した。困難な状況において、国民に結束と協力を求めた。
大統領はこの中で、ロシアを欧州にとっての脅威と位置づけ、ロシアがウクライナでとどまる理由はないと言明。ウクライナ本位の和平を実現できない限りは、脅威が欧州に及び続けるとの見解を示した。欧州の安全保障は自明ではなくなったとも述べて、「我々は新たな時代に突入した」と言明、以前よりも米国の協力を頼りにできなくなる中で、欧州は自ら安全保障の構築に努力する必要があると強調した。
ウクライナについては、堅固で、持続的で、確認可能な和平の実現を前提とし、和平合意が結ばれた後に、平和維持のために欧州が共同で部隊を派遣するとの構想を改めて明らかにした。そのために有志諸国の軍責任者による会合が翌週にパリで開かれると予告した。大統領はまた、核保有国であるフランスが、抑止力に関して欧州諸国と協力するという構想にも改めて言及。ただし、核兵器の使用の判断は引き続き、フランス軍の最高司令官である大統領のみに存するとも説明した。
大統領は、軍備増強の投資拡大の必要性を強調しつつ、それを増税なしに行うと約束。それに伴い、「新たな予算上の選択」が必要になると述べて、支出削減に痛みの伴う決定がなされることを示唆した。大統領はこの点で、すべての政治勢力と労使に対して、協議と提案を促した。大統領は最後に、財源などとは別に、国民に対して「魂の力」をもって、協力と結束で厳しい状況に立ち向かおうと呼びかけた。