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フランスでドイツ語教育が後退

フランスでドイツ語の学校教育が後退している。過去3年間で、ドイツ語学習人口は年間で3万人の減少を記録。現在は全体の13%に相当する73万人のみがドイツ語を学習しているという。独仏両国は、2019年に結んだ条約において、お互いに相手の言語教育を強化することを約束したが、フランス側ではその成果は出ていない。逆に、ドイツでは、2023年から2024年にかけてフランス語学習人口が7万5000人の増加を記録。学校生徒の15%がドイツ語を学習している。

フランス政府は2030年までにドイツ語学習人口を10%増やすとの目標を設定しているが、今のところ成果は出ていない。外国語の選択において、スペイン語の方が勉強しやすいという俗信があり、これがドイツ語学習から生徒たちを遠ざける要因の一つになっている。教育界では生徒集めのキャンペーンなどを展開。スペイン語の方がフランス語に似ているというのは早計で、いろいろと困難が待ち受けていることを知らせつつ、ドイツ語を習得する将来的な利益として、技術・エンジニア関係などをはじめとして有効活用する機会が多いことなどを挙げて、生徒たちの説得に当たっている。

フランスにおけるドイツ語教育の中心地はやはり国境を接するアルザス地方で、経済関係の深さも学習意欲を高める要因になっている。第1外国語としてドイツ語を学ぶ生徒は、小学生で75%、中高校生で45%がストラスブール学区に集中している。逆に、アルザス地方を除いてしまうと、フランスにおけるドイツ語学習の状況はかなり後退が目立つ。高等教育でみると、ドイツ語教師を育成するドイツ語学科で学生数が減っており、将来に懸念がある。かつて、2000年代には、ドイツ出身のビジュアル系ロックバンド「トキオ・ホテル」が大人気となり、ドイツ語学習が活況を呈したという前例があり、ドイツ語教育の関係者らは、そうしたソフトパワーの再来に期待している。

KSM News and Research