フランス情報メディアのET TOI(エトワ)

フランスと日本をつなぐ

1€=

新規登録

予算法案、可決にめど:個人対象の諸措置を紹介

バイルー内閣は5日、予算法案採択に絡んだ内閣不信任案を乗り切った。予算法案は6日に上院で最終的に可決される見込み。

個人対象の税制関連の改正ポイントは以下の通り。

・所得関係

所得税の税率区分に対応した所得額のインフレ率並み引き上げが盛り込まれた。1.8%の引き上げがなされる。これがなされないと、所得額が境界付近の世帯では、所得税の課税対象となったり、高い税率が適用される恐れがあった。1800万世帯程度が実質増税となる恐れがあった。

高額所得者を対象とする特別課税CDHRが適用される。年間所得25万ユーロ(独身者の場合)を超える者について、20%という最低課税率が設定される。各種の租税の合計額の実効税率が20%に満たない場合に、その差額が徴収される。2025年の所得が対象で、12月時点で前納金の形で徴収がなされ、のちに精算の対象となる。

暗号資産の取引仲介業者に、ユーザーの取引内容を税務当局に申告する義務が課される。税務当局による脱税取り締まりが容易になる。

困窮者支援団体への寄付に係る税額控除の増額措置(1000ユーロを上限に75%の増額を適用)が恒久化された。また、DV対策団体への寄付も対象に加えられる。

・不動産関係

不動産取引税(通称「公証人費用」)の税率が、4月1日より4.5%から5%に引き上げられる。初めて住宅を購入する人については4.5%の適用が続けられる。

住宅購入支援の無利子融資制度(PTZ)の適用対象が拡大され、フランス全域の新築一戸建てに適用されるようになる(予算法公示より2ヵ月後から2027年末日まで適用)。

低所得者に住宅を適正価格で賃貸する所有者を対象とする減税制度の適用が継続される。APL(住宅補助)の受給資格等は従来のまま維持される。

直系の子どもに対する免税贈与枠10万ユーロが、住宅購入のために充当されることを条件に設定される。

・エネルギー関係

ガスボイラに係る付加価値税(VAT)税率が5.5%または10%から標準税率の20%に引き上げられる。

電力・ガスの基本料金に係る付加価値税(VAT)税率は、欧州連合(EU)の規定に従い、この夏に5.5%から20%へ引き上げられる。政府は、この増税分を、消費に係る課税の軽減により相殺すると約束している。

低所得者向けの「エネルギー小切手」(エネルギー料金の支払いに充当できるバウチャー)は、受益者に自動的に送付される形に改正。

・運輸関係

二酸化炭素排出量が大きい車両の購入時課税は対象が拡大。3月1日より、1km当たりの排出量が113g(現在より5g引き下げ)から課税対象に。毎年5gずつ引き下げられ、2027年には103gまで引き下げ。最大課税額も毎年1万ユーロずつ引き上げられ、この3月1日からは7万ユーロに。車体登録時課税は据え置きに。

航空券への課税「TSBA」は3月1日より引き上げに。欧州域内便だと7.40ユーロ(現在は2.63ユーロ)、長距離国際便だと40ユーロに。

KSM News and Research