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パリ市内のテラス席をめぐる攻防

イルドフランス地域圏(パリ首都圏)会計検査院は28日、パリ市内の飲食店のテラス席に関する報告書を提出した。付近住民に及ぼす迷惑などを考慮し、改善を求めた。

テラス席は新型コロナウイルス危機を境にして増えた。パリ市当局は、コロナ危機に伴う飲食店の支援の一環として、テラス席に係り店舗から徴収する料金を停止するなどして支援。危機後もテラス席の開設が広がった。2020年の時点では、街路面積の1.5%をテラス席が占めていたが、2023年にはこれが2.45%まで上昇(60%増に相当)。テラス席の設置数は、2018年から2023年にかけて27%近く増加した。テラス席に係る徴収金の収入は2022年に約3900万ユーロとなっているが、報告書は、検査体制が不十分であり、無許可の設置や規則を守っていない設置を適切に排除できていないと指摘。罰金額(35-1500ユーロ)も低く、違反を繰り返す店舗も多いと指摘した。料金体系が古く、また複雑であり、実勢料金が適正水準より低いと考えられるとも指摘した。

パリ市の側では、テラス席が果たしている文化的・社会的な役割を強調しつつ、夜間の騒音など近隣迷惑の問題については、市内の20区のそれぞれの区役所に許可の決定権を委ね、住民との協議を行って最適解を見出すことを提案した。

KSM News and Research