北仏ブローニュシュルメール(パドカレー県)にある造船所Socarenamは、セイルを搭載した哨戒艇の建造を受注した。海上保安を担当するDGAMPA(海事・漁業・養殖総局)から入札を経て受注した。提携先の設計事務所Mauric(マルセイユ)と共同で契約を獲得した。9月に建造を開始する予定で、2027年7-9月期の引き渡しを目指す。
全長約54メートル、重量510トンの哨戒艇(ハルは鋼鉄製)を建造する。哨戒艇は170平方メートルのセイルを搭載、延伸可能なマストに紙風船のような構造のセイルが取り付けられ、圧搾空気により自動的に展開される。センサによる制御で、最適な展開と方向に随時調節される。海上での検査業務など低速操船時にセイルによる操船に切り替えられる。新造船は、1988年建造の哨戒艇イリスを後継するが、イリスを用いて得られたデータによると、セイルは操船中の90%程度で使用可能で、推進力の15%をセイルで確保でき、燃料消費を10%近く削減できるという。
新造船には、通常のディーゼルエンジンと、ディーゼル・エレクトリック方式の推進装置が搭載される。粒子状浮遊物質をカットするフィルターと、排気ガス処理システムも設置される。また、太陽電池パネルの設置により船上での電力需要を一部まかなう。セイル搭載により、価格は5%高くなり、2500万ユーロに上る。