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PFASの飲料水汚染、フランス全国に広がる

「永遠の化学物質」など呼ばれるPFAS(有機フッ素化合物の一部の総称)による飲料水汚染を問題視する民間団体等の調査結果がこのほど発表された。団体側はこれら物質の使用制限を要求している。

消費者団体UFCクショワジールなど民間団体依頼の調査結果と、仏検査大手ユーロフィンが行った調査結果がそれぞれ公表された。いずれの調査も、PFASのうち、トリフルオロ酢酸(TFA)の飲料水汚染状況を調べた。UFCクショワジールなどが依頼の調査では、昨年9月までソルベイがTFAを生産していた工場近く(ガール県ムサク市)で、TFAの含有濃度が1リットル当たり13マイクログラムと最大だった。しかし、汚染の範囲は広く全国に及んでおり、パリ10区でも6.2マイクログラム(=6200ナノグラム)と特に高かった。全体として、全国の30標本のうち、24標本でTFAが検出され、20標本では100ナノグラムを超える含有濃度が記録された。ユーロフィンの調査でも、63標本のうち61標本で、TFAの含有濃度が100ナノグラムを超えた。

TFAは、農薬などの原料として用いられる。冷媒等の代謝物質として環境中にとどまることも知られている。人体に取り込まれた場合の毒性について懸念する声があり、オランダではTFAについて、1リットル当たり2200ナノグラムを上限目安として設定。ドイツでも60マイクログラムを暫定基準に設定しているが、フランスではまだ基準が定められていない。農薬代謝物質と横並びの100ナノグラムに基準を設定すべきだという議論もあり、UFCクショワジールなど団体側は、早期の使用制限導入を要求している。

KSM News and Research