トランプ当選に伴い、トランプ候補に積極的に協力したイーロン・マスク氏が保有するX(旧ツイッター)から大手新聞社が撤退する動きが世界的に広がっている。英ガーディアン紙やスウェーデンのダーゲンス・ニュヘテル紙などに続いて、フランスでも、地方紙グループであるウエストフランスとシュドウエストの両社が会社アカウントからの投稿を停止すると発表した。
トランプ当選の大統領選挙のキャンペーンでは、偽情報まがいの投稿も含めて、マスク氏は熱心にトランプ候補を応援した。大手新聞社の間では、Xの利用を続けることは、そのようなやり方を容認することに当たるとして、投稿の取りやめ検討の動きが広がった。ウエストフランスとシュドウエストの両社は、会社としての投稿を停止するが、所属ジャーナリストには、それぞれXを利用した情報収集等の活動を認めると説明している。両社とも、自社サイトへの経路としてXが果たす役割がごく小さいことから、利用停止に伴う打撃は小さく、それだけ決定は容易だったと考えられる。ただし、Xへの対応という点で、大手メディアの足並みは揃っていない。民放大手のTF1とM6はそれぞれ、メディアがXから去れば、信頼性のある情報がX上で流布しなくなり、かえって危険だとして、現状では撤退は考えていないと説明。レゼコー・ルパリジャン(LVMH傘下)と保守系のルフィガロ・グループも、SNS各社からの撤退の可能性を否定している。左派系日刊紙リベラシオンは、トランプ大統領の正式就任までをめどに、撤退を含めた様々な可能性の検討を進めると説明。ルモンド紙も検討中となっている。