農民団体が11月18日より、全国で抗議行動を開始した。欧州連合(EU)とメルコスール(南米南部共同市場)の間の自由貿易協定締結への反対などを掲げている。
農民による抗議行動は1年ほど前にも展開された。この時には、当時のアタル内閣が、農民支援の一連の措置を約束して、抗議行動が収束したという経緯がある。今回の抗議行動は、各団体の力関係を決める農民組合の選挙を2ヵ月後に控えるというタイミングもあって、各団体にとっては、存在意義を誇示する機会にもなり、強硬化を招くリスクもある。大手農民団体のFNSEAとJAは象徴的な抗議行動を優先しているが、より先鋭的なCRやCPなどの団体は、前回のような道路封鎖を展開する可能性もある。タカ派のルタイヨー内相は、封鎖が長期化するなら排除を徹底すると予告しており、今後にどのような状況になるか注目される。
政府は、アタル前内閣が約束した措置のうち、67%が実行に移されたとしているが、FNSEAでは、実行されたのは36%にとどまるとし、スピードアップを要求している。政府はまた、約束された措置のうち、立法措置をまとめた法案の審議を1月に上院で再開する(解散総選挙のため法案の国会審議は中断されていた)と予告。このほか、上院では、農民対象の規制緩和(農薬制限措置の解除など含む)を盛り込んだ議員立法法案が提出されており、マクロン派の議員団も、農民支援法案を議員立法法案として提出、こちらは12月2日に下院で審議される予定。