ルタイヨー内相は29日付の通達で、移民政策の厳格適用を指示した。
ルタイヨー内相は共和党(保守)の所属で、移民政策におけるタカ派の姿勢をバルニエ内閣において体現している。2025年年頭に新たな移民法案を提出することを取り付けているが、それを待たず、既存の法令の厳格適用を行うよう、各県における国の代表者である知事(行政長官)に対して指示した。具体的には、就労実績のある不法滞在者に対する滞在許可証の発行を促進する2012年の従来通達を取り消し、滞在許可証の発行を法令の枠組み内で厳しく制限するよう指示。また、秩序にとって脅威になりうる外国人の国外退去処分を組織的に行い、規模も拡大するよう指示した。
なお、外国人不法滞在者の国外退去処分を執行するに当たっては、こうした者がパスポートを所持していないことが多いため、本国政府が通行証の発行に応じることが前提になるが、本国政府がこれになかなか応じずに執行ができないことが多い。最近でも、パリ市内で発生した女子大生フィリピーヌさんの殺害事件で、刑期を終えて国外退去処分を待っている段階のモロッコ人男性が、通行証の発行が遅れたことに絡んで釈放され、その間に犯行に及んだことが問題になっていた。ルタイヨー内相は、マクロン大統領のモロッコ公式訪問に同行し、29日にモロッコ政府代表とこの問題を協議した。モロッコ政府は協力に応じたが、数値目標など具体的な取り決めは発表されずに終わった。