11月25日に投票が始まる零細企業対象の労組代表選挙で、パリ地裁は14日、主要労組が共同で起こした訴えを退け、「黄色蛍光ベスト」系の労組SGJの立候補を許可する判決を下した。
「黄色蛍光ベスト」は、2018年末にフランス全土に広がった抗議行動。自動車燃料への増税への反対に端を発して、大規模な反政府運動に発展し、長期に渡り続いた。SGJはその流れを汲んで発足した労組だが、主要労組(CFDT、CGT、FO、CFE-CGC、CFTC、Unsa)が一致して、共和国の価値を守らず、反社会的な主張を展開する組織であるとの理由を挙げて、代表選挙への参加を禁止するよう求める訴えを起こしていた。SGJは、新型コロナウイルス危機に伴い、一定の職業者に対するワクチン接種を義務付けた2021年の法律の廃止を要求。それに絡んで、健保公庫のサイト上の被保険者のアカウントの削除を呼びかけたり、さらに、エリック・ラウルト医師(ヒドロキシクロロキンの投与により新型コロナウイルス感染症を治療できると主張)を支持したりと、反ワクチンの陰謀論とも連携する運動を展開している。裁判所はこれについて、同労組が労働関係にとどまらない衛生上の問題について見解を発信する組織であると認めた上で、実質的に労組としての活動もしており、職場選挙においてわずかではあるが一定の実績もあると認定。同労組には今回の選挙に参加する資格があると認めた。
零細企業対象の労組代表選挙では、従業員数10人以下の企業の従業員らを有権者として、労組を対象に投票がなされる。