大手格付け会社フィッチは11日、フランスの長期債務格付けの改定結果を発表した。格付けは「AAマイナス」のまま維持し、格付け見通しは「ネガティブ」とした。
フランスではその前日に、2025年の予算法案と社会保障会計予算法案が閣議決定されたばかりだった。バルニエ新内閣は、2024年の財政赤字の対GDP比率を6.1%にまで上方修正した(4月の前政権下では5.1%)上で、2025年予算案において、同比率を5%まで圧縮するため、600億ユーロ規模の節減を実施するとの方針を示していた。これに大手格付け会社がどのような反応を示すかが注目されていた。
フィッチはこれまで、財政赤字が膨張し、公的債務残高の大きな上昇が継続する場合には格下げを決める可能性があると指摘していた。とりあえず格付けを維持したが、見通しをネガティブとすることで、今後の財政運営に注文を付けた格好になった。アルマン仏経済相は、フィッチがフランス経済の多様性と行政機関の有効性、財政の安定性に関する実績を認めている点を強調。同相は、公的債務の持続可能性に向けた能力という点で、市場の信頼を維持するべく努める姿勢を示している。