広告チラシ配達の専門企業Mileeが去る9月に清算となった。倒産による雇用への影響は大きいものの、ほとんど話題にはならなかった。8日にはパリの経済省前で、旧従業員が数十名ほど集まり、抗議行動を行った。
Mileeの従業員数は1万人を超えていたというが、ほとんどがパートタイム就労者だった。さらに、事業所と雇用も多数の地方に分散しているため、消滅しても目に留まりにくい「透明人間」たちだった。労組によると、従業員のうち1700人は70才以上だったといい、少ない年金を補うためにアルバイトの掛け持ちという形で働いていた。未払いの従業員も多いが、なにぶん雇用数も多いため、補償基金への請求の進捗状況も遅れがちで、労組側は救済を要求。8日にフェラシ産業担当相は代表団を迎えて会談し、迅速化を約束した。
Milee(旧Adrexo)は2017年に3人の実業家(ポンス、ポミエ、サラベール)により買収され、Hoppsグループの傘下に入ったが、赤字が続いて債務が増大。公的援助を数度に渡り受けたが、業績は改善しなかった。2021年には、環境関連法規の改正により、広告チラシの受け取りをオプトインに改める(希望者以外の郵便受けへの配送を禁止する)新制度の試験導入も開始され、広告バッシングの流れの中で、事業機会も失われていった。Hoppsグループは、5年間で市場規模が5割程度縮小したと説明しているが、労組側では、2022年のグループ子会社コリ・プリベの売却収入5億8000万ユーロの使途など、経営に不明朗な点があったと主張しており、提訴を求める動きもある。