左派系の経済研究所OFCEがこのほど発表した推計によると、フランスにおける労働生産性(付加価値を労働時間総数で割った値)はこの4-6月期に、前年同期比で1.3%増加した。新型コロナウイルス危機前には、労働生産性は年間0.9%程度の向上を記録していたが、それを上回る改善を示した。
フランスの労働生産性は、新型コロナウイルス危機を挟んで顕著に後退しており、2019年中頃から2023年中頃までの4年間では5%近く後退した。2019年末から2024年6月まででは、国内の雇用数は110万人の増加を記録。生産性が維持されるには、この増加を12万9000人にとどめる必要があり、それを超える98万人分が、「余剰な」雇用増加分となっていた。これは、新型コロナ危機後の厳しい状況において、雇用維持の公的援助が投入されたことなどが原因と考えられるが、原因が不明な増加分が48万人相当あり、エコノミストらはその理由を詮索していた。OFCEによると、公式統計等の修正により、実際には「原因不明」の雇用増分は28万5000人まで縮小。部門別では、工業部門(20万人)と建設部門に集中している。こうした余剰分は、生産回復に伴い徐々に解消されてゆくが、労働生産性が危機前の水準に復帰するのはまだ先だと考えられる。
KSM News and Research