ガラス容器製造の仏大手ベラリアはこのほど、仏シャトーベルナール市(コニャック地方)にガラス瓶製造の新鋭100%電気炉を整備した。二酸化炭素排出量の60%削減を実現する。
ベラリアは設計に2年、建設に2年を費やして新施設を整備した。総投資額は5700万ユーロで、国から800万ユーロの補助金を獲得した。日量180トン(30万本相当)のガラス瓶を製造できる。半年前に試運転を開始し、このほど正式に開所した。年間の二酸化炭素排出量は1万3000トンで、同等の規模のガス炉の3万トンと比べて、60%の削減を達成する。
同社はこのほかにも、ガスと電気のハイブリッド炉を、2025年にスペインのサラゴサに、2026年には仏サンテティエンヌ近郊に開所する計画を進めている。これらは脱炭素化に向けた全社の施設の段階的な更新のパイロット施設としての役割を果たす。完全電気炉については、これまでは小型の香水瓶などで導入例があるが、大型のガラス瓶を製造する施設としては世界でも初めてだという。熱を逃さない縦型(高さ4メートル)の設計を採用するなど、新機軸を打ち出した。フランスは脱炭素の電源(原子力)からの電力を豊富に確保できる利点があり、地元の需要家(蒸留酒コニャックの製造業者)からの支援も決め手になった。
KSM News and Research