欧州委員会は9月11日、欧州連合(EU)のエネルギー状況に関する2024年報告書を発表し、エネルギー供給安全保障の危機的リスクを耐えて、エネルギー市場とエネルギー価格のコントロールを取り戻し、気候中立への移行を加速したと評価した。
消費者にとっては、EUレベルでのエネルギー危機対策の取り組みが奏功し、電力とガスの価格が2022年のピークと比べて大きく低下したと指摘。「EU電力市場設計(EU Electricity Market Design)」の改革のような新たなエネルギー市場規制により、低所得層の電力アクセスの保護が強化され、また、ガス価格危機が発生した場合に、加盟国が消費者保護策を導入してエネルギーと基本的な社会サービスにアクセスできるように図ることが可能になったと強調した。
報告書によると、再生可能エネルギーが大きく成長した。2024年上半期(1-6月)にEUの発電源の半分を再生可能エネルギーが占めた。特に風力発電はガス火力発電を抜いて、原子力発電に次ぐ第2の主要発電源となった。
また欧州委員会は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後に、EU加盟国に対して2023年春までにガス消費を15%削減(450億立方メートルの削減)することを要求していたが、報告書によると、目標を上回る18%の削減(530億立方メートル)が達成された。これに勢いを得て、削減目標は2024年3月まで延長され、さらに600億立方メートルが削減されたと推定される。
ガスの調達における対ロシア依存の縮小も進んだ。EUのガス輸入に占めるロシア産ガスのシェアは2021年の45%から2024年6月には18%に低下した。その一方で、ノルウェーや米国など信頼できるパートナー諸国からの輸入は増加した。
KSM News and Research