仏製薬大手サノフィは10日、リヨン市近郊に位置するヌービルシュルソーヌ市(ローヌアルプ県)で新工場の開所式を行った。マクロン大統領も列席した。
新工場は2020年6月に着工。大統領はこの時にも式典に出席していた。新工場の面積は2万4000平方メートル、投資額は4億9000万ユーロで、国も援助を行った。新工場は新技術を導入した「未来の工場」という触れ込みで、デジタル技術を駆使し、設計と装備についてはモジュール式のコンセプトを徹底することで、最大4種のワクチン又はバイオ医薬品を同時に製造することができる。ワクチンは、生ワクチンから組換えタンパクワクチン、mRNAワクチンに至るまで各種のワクチン製造に対応でき、設計思想にコンタミネーションの徹底排除を組み入れることで、同時製造を可能にする。サノフィが力を入れる免疫治療の医薬品も同時製造できる。ワクチンの製造では、認可前から製造に着手できる機動的な体制づくりが鍵となるが、新工場では短期間で生産ラインを立ち上げ、増産を実現することも容易となる。
新工場は最大で年間にワクチン5億回分を製造する能力を有する。施設の認可手続きはこれから始まり、2025年末までの生産開始を予定する。仏政府は、国内生産の振興を目的に同工場の建設を支援した。大統領府は今回の開所について、「保健衛生の国家主権」の確保に貢献するとコメントした。
KSM News and Research