パリ市のイダルゴ市長(社会党)はこのほど、ペリフェリック(パリ環状自動車専用道)の速度制限を時速70kmから50kmへ引き下げる方針を再確認した。10月中に実施するとした。速度制限の引き下げの権限を巡って論争が生じている。
イダルゴ市長は以前から速度制限の引き下げに意欲を示していた。市長は、ペリフェリック周辺に50万人が居住していることを挙げて、大気汚染の状況を改善するために速度制限を引き下げると説明。市長はこのほか、五輪期間を対象に導入された関係者向け優先レーンを維持し、公共交通機関とライドシェアの専用レーンとするよう、政府に対して要請したことを明らかにした。
政府は速度制限の引き下げに反対している。ベルグリエト運輸担当相は、ペリフェリックを利用する車両(1日120万台程度)の8割がパリの住民のものではないことを挙げて、郊外居住者に不利益を及ぼす措置になるとして反対している。パリ警視庁のヌニェス警視総監も速度制限の引き下げに反対しており、過去の慣習から、速度制限について決定するのは警視庁の役割だと説明している。権限の所在については諸説あるが、パリ警視庁は、速度制限に伴う取り締まり状況のアップデートを行う権限があり、速度制限引き下げを反映させない形で、その施行を妨害することはできるという。
KSM News and Research