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人気のイチゴ品種「ガリゲット」、業界は保護に危機感

仏経済紙レゼコーは9月2日付で、フランスで人気のイチゴの品種「ガリゲット」の将来について報じた。業界による品種保全と「模造品」対策の現状を紹介した。
フランスのイチゴ生産は、業界団体によると年間5万8000トンに上る。今年の生産は比較的に順調で、春季に気温が上昇しなかった分、通常より遅い時期まで出荷が続けられたという。ガリゲットは1976年に公的機関INRAにより作出された品種で、現在は国内生産の20%を占める。甘味と酸味が共に強い高級品種として人気を博し、外国産(特にスペイン産)のイチゴとの差別化を図る上で重要な役割を果たしてきたが、「特許」の保護期間が1990年代末で終了し、その後、品種の固定と維持、種苗の品質管理は業界の専門機関CTIFLが担ってきたが、公的機関であるGevesがこの件で2021年に公共サービス委託契約を打ち切ったことから、保護の手立てが途絶えたまま現在に至っているという。ガリゲット種はフランスにおける品目リストからも外されており、欧州連合(EU)の品目リストの枠内で認定を受けている状況だが、このままだと、品質の輪郭がぼやけた「模造品」が逆輸入の形で国内市場に流入するリスクもある。国内の500程度のイチゴ生産者が作る業界団体AOPnはこのため、最良の3株を選定し、ガリゲットの新標準を策定して自らその保護を引き受けることをGevesに対して提案した。年内に認証を得て品種保護の作業に着手することを望んでいる。
KSM News and Research