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テレグラムのドゥーロフCEO、フランス当局により容疑者認定

メッセージアプリ「テレグラム」のドゥーロフCEOが24日にフランスで逮捕された件で、仏司法当局は28日、ドゥーロフ氏に12件の容疑で予審開始を通告した。予審は、担当の予審判事が起訴の是非を決めるための裁判上の手続き。当局はドゥーロフ容疑者を28日に保釈したが、保釈金500万ユーロの支払いに加えて、出国禁止と、1週間に2度の出頭義務を課すなど、厳しい条件をつけた。
当局が採用した一連の容疑の中には、「違法な取引を可能にするオンライン・プラットフォームの運営共犯」、「法律で許可される傍受に必要な情報の当局機関への提供の拒否」、「児童ポルノの流布、麻薬物質の取引、詐欺行為、犯罪団の活動の共犯」、「犯罪団の資金洗浄」などが含まれる。テレグラムは、エンドツーエンドの暗号化により完全な機密性を確保した通信ができるのが売り物だが、テレグラム上に設置されたグループには、テロ行為の称揚や違法な取引、詐欺などに使われているものも多く、モデレーターの機能もほとんど設けられていないことが問題視されていた。
ドゥーロフCEOはロシア人だが、2021年にはフランス国籍も取得。通常はアラブ首長国連邦ドバイに居住し、同国の国籍も保有している。極端な自由主義を掲げて、一時はロシア当局と険悪な関係になり、15年前にロシアを離れたが、現在もロシアのパスポートを保有しているといい、近年ではロシア政府との関係も改善したとみられている。ドゥーロフCEOは弁護士を通じて、違法行為とは一切かかわりを持っておらず、無実だとするコメントを発表。ドゥーロフ氏を支持する勢力は、逮捕劇は政治的な陰謀であり、自由の侵害だとの主張を展開しているが、マクロン仏大統領は26日にコメントを発表し、完全に独立した司法当局が進めている捜査によるものであり、政治的な背景は一切ないと説明している。
KSM News and Research