電気自動車(EV)の普及支援を目的に、仏政府が今年のはじめに導入した「月額100ユーロのEVリース」制度の利用者に関する統計調査の結果を、同制度の運営を担当するエネルギー気候総局(DGEC)が公表した。利用者のプロフィールが平均的な新車購入者と異なることが明らかになった。
同制度は、マクロン大統領の2022年の選挙公約に基づいて2023年秋に予告され、2024年1月1日に所得水準で下位50%の世帯(世帯成員1人当たりの年間所得が1万5400ユーロ以下)を対象として導入された。頭金を国が負担し、利用者は月々の支払のみを負担するだけでEVをリース利用できる。なお、所得以外に、自動車通勤の距離が15km以上であるか、仕事のために年間8000km以上を走行することが同制度を利用する条件として要求される。予想以上の反響があり、申し込みが殺到したせいで、予算超過を避けるために、3月はじめに受付が締め切られた。利用者数は5万人で、EVの引き渡しは9月末まで続く見通し。今回の調査対象は最初に引き渡しを受けた2万5000人のみだが、そのプロフィールを知るには十分という。
それによると、利用者の61%弱は年間所得(世帯成員1人当たり)が1万200-1万5400ユーロ、残りの40%弱は1万200ユーロ未満。普通なら(EVよりも安いエンジン車でも)新車を購入する資金力のない所得層であることが確認された。また利用者が若いのが特徴で、36才未満が30%を占めた(18-25才が6.5%、26-35才が23.8%)。41.5%が36-45才で、利用者の平均年齢は40才程度。これは2023年にEV乗用車新車を購入した人の平均年齢を9才下回っている(EVに限らず乗用車新車を購入した人の平均年齢より14才若い)。
制度が好評だったので、政府は2025年に再開すると予告していたが、財政が逼迫していることや、解散総選挙後の政局混迷により、実行されるかどうかは不確かになっている。
KSM News and Research