困窮者救済に取り組むアベピエール財団は22日、夏季に過度に暑くなる住宅の問題に対処するよう訴える報告書を公表した。気候変動に伴い猛暑の強度と頻度が高まる中で、国内の住宅が対応できていないと指摘した。
財団の調査によると、2023年に24時間以上の住宅内の高温に苦しめられたと回答した人は、全体の55%に上った。過度に室温が高くなる住宅に住む人は、2013年から2020年にかけて26%の増加を記録したという。特に都市部の住民で被害が大きく、例えば、パリ首都圏においては、31%の住民がヒートアイランド現象の生じる地区内に居住している。市街地では住宅が狭いことも、室温上昇に拍車をかける要因になる。パリは欧州の都市の中でも熱波による死亡率が高いという。フランス全体では、2023年に高温による死亡者数が5000人を数えたとされる。
アベピエール財団は、エアコンの普及が広がっている(エアコンのある本宅の数は2020年までの7年間に75%増)ことについて、排熱で気温上昇が加速するというデメリットがあり、包括的な対策を進めずにエアコンに頼るのには問題があると指摘。具体的には、断熱効率が悪く、冬季の暖房需要が大きい住宅の改善のみに力点を置いている現行の気候変動対策について、断熱性のみ高めると夏季の室温上昇をさらに加速する結果になりかねないとし、換気システムの整備などを組み合わせた包括的なリフォームを推進するよう、当局に対して勧告した。
KSM News and Research