ルパリジャン紙は22日付で、RATP(パリ交通公団)の車検不正の疑惑について報じた。RATPの複数の職員の証言としてこの疑惑を報じた。これによると、RATPはバス運転手らに対して、車両の定期検査の直前に、ダッシュボードにパソコンを接続させて、リスクを知らせる車載データを全消去させた上で、車両を車検に回していたという。これが本当なら、一時的に不都合なデータを消して、車検業者を騙して検査合格を得ていたことになる。ルパリジャン紙によると、車検不合格で車両を使えない時間が長くなった場合、バスの運行に支障が出ることから、それを回避するため、会社側が職員に対して不正行為を指示していたのだという。同紙に証言した職員らは、職を失うのが恐くて不正と知りながら応じたと述べており、同紙は、車検を通った直後に事故が発生してしまったとする証言も掲載している。
RATPはこの報道について、専ら事故を起こした2人の運転手の証言に基づいたものであり、いずれも事故の責任が運転手の側にあったことが判明している事案だと説明し、係争関係にある運転手の証言は信ぴょう性に欠けると反論。組織ぐるみの不正はないとの見解を明らかにした。他方、イルドフランス地域圏(パリ首都圏)のぺクレス議長はRATPに対して、この報道に関して説明を要求。RATPのカステックスCEO(元首相)は調査を行い結果を報告すると約束した。
KSM News and Research