2025年予算法案の準備で、アタル首相は20日、各省庁に予算枠の上限を通知した。全体として前年並みの支出に抑制する内容になったという。解散総選挙後の政局混迷で、次期内閣の発足のめどがまだ立たない中だが、予算法案は憲法上の規定により10月初頭までに国会に提出する必要がある。アタル首相は、今回の通知について、次期内閣が遅滞なく予算法案の編成を終えることができるように、必要な準備を進めることが目的だと説明している。全体として、2024年予算法と同じ4920億ユーロを歳出総額に設定したとされるが、これは、インフレを考慮すると、100億ユーロ程度の実質削減に相当するといい、現状維持の外観とは裏腹に、次期内閣に厳しい努力を求める内容となっている。省庁別の上限は公表されていないが、中期国防計画法の定める支出項目には手をつけず、また、文化、スポーツなど一部の省庁では増額又は現状維持が認められる。半面、労働省の予算には6億ユーロ程度の節減が求められるという。
政府は2025年に財政赤字総額の対GDP比を5.1%まで圧縮するとの目標を立てていたが、政府筋ではこの目標に言及するのを控えている。財政赤字総額に含まれる社会保障会計等の収支改善の展望が厳しいこともあって、財政健全化の道筋を確保するのは一段と難しくなっている。
KSM News and Research