独Schmidt Automotive Research(自動車市場調査)によると、2024年1-6月期に、西欧18ヵ国のBEV新車市場において、中国製BEVのシェアは10.3%にとどまり、予想されたような中国車の大量流入は起きていない。なお、調査対象の西欧18ヵ国には、2004年の拡大以前の欧州連合(EU)加盟国とノルウェー、スイス、アイスランド、英国が含まれる。また、BEVに限らず、すべての動力源を合わせた西欧18ヵ国の乗用車新車市場において中国車の割合は、1-6月期に3.1%(4-6月期には3.4%)で、日本車の13.4%や韓国車の7.9%を大きく下回った。
中国のBEVブランドのうちでは、2007年に英MGを買収したSAIC(上海汽車)が突出しており、西欧18ヵ国のBEV新車市場で1-6月期に4.7%のシェアを確保した。Geely(吉利汽車)が3.1%で続いた。中国最大手のBYD(比亜迪)は西欧市場進出から1年以上を経たが、苦戦しており、シェアは1.7%に過ぎない。
中国勢の進出が予想ほど進まないのは、BEV輸送船の不足、西欧市場でのBEV販売の不振、フランスでのBEV購入補助金からの中国車外しなどにも原因がある。さらに7月からは欧州連合(EU)による中国製BEVに対する追加関税も加わり、中国製BEVにはますます逆風が吹いている。こうした状況で中国メーカーは欧州に工場を設置して現地生産を強化するなどの対応策を講じているが、これが効果を発揮するには時間がかかる。
中国製BEVの強みは価格の安さだが、西欧のメーカーも今後に手頃な価格のBEVを続々と投入する見通しであり、競争は激化する。Schmidt Automotive Researchは中国製BEVの市場シェアは2027年まで12%程度にとどまると予測している。
KSM News and Research