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仏政府、企業の実質的支配者リストへのアクセスを制限

仏政府は7月31日付で、企業の実質的支配者リストへのアクセス制限を導入した。個人については、請求を経て案件ごとの開示を認めるという形に改められた。
企業の実質的支配者リストは、フランスでは2021年4月に開示が始まった。ただ、2022年11月に、欧州司法裁判所がこの開示を欧州連合(EU)の基本法に抵触するとの判例を下して以来、全面開示の維持が難しくなっていた。仏政府は、アクセスを一時的に制限した後に、判例を折り込んだ法令をEUが確定するのを待って、全面開示を復活させていたが、関連EU法令が公示されたのを受けて、それに即してアクセス制限を導入した。
企業の実質的支配者リストは、脱税や法令違反等の監視の手段とする目的で導入されたもので、自己申告の文書の内容がこれまでは無制限でだれでも閲覧できた。今後は、当局機関と金融機関について無制限でのアクセスを認め、また、調査報道ジャーナリスト、研究者、市民団体等、さらに、顧客情報を把握する義務を負う企業についても、包括的にリストにアクセスする権利を認める。一般市民については、INPI(産業財産庁)が管理するシステムを通じて案件ごとに請求し、情報開示を得る格好になる。
KSM News and Research