INSEEの8月1日発表によると、フランスの出生数は2024年1-6月期に32万6131人となり、前年同期比で8140人減少した。減少率は2.4%(2024年が閏年であることを考慮すると3%)。出生数は2023年に前年比6.6%減の67万7891人に落ち込み、第二次世界大戦以来で初めて70万人を割り込んだ。これに比べると1-6月期の減少幅は縮小したが、出生数は2011年以来、新型コロナ危機下のロックダウン後にわずかに上昇した2021年を除いて減少を続けている。
他の先進諸国に比べると高めであるとはいえ、合計特殊出生率も全ての年齢層で低下しており、2023年は1.68となった。フランスはこれまで、子どもを持たない女性の数が他と比べて少なく、3人以上の子どもを産む女性も多かったのが、第一子を産む年齢も上がってきており、他国に倣う傾向にあるという。
シンクタンクのTDTEが実施したシミュレーションによると、フランスの合計特殊出生率が現在のイタリアと同水準の1.3に低下した場合、2040年のGDPは、合計特殊出生率を1.8として算出されたINSEEの予測を750億ユーロ、3ポイント下回ることが予想される。
こうした出生率の低下に歯止めをかけるべく、マクロン大統領は年頭に、不妊対策の強化と両親共に享受できる誕生休暇の導入を予告した。誕生休暇は、収入保障が低すぎて利用実績が伸びない現行の両親休暇に代わるものとして2025年中の導入に向けて協議が進められていたが、6月末の解散総選挙によって中断された。公共政策が少子化対策に有効か否かは議論が分かれるところだが、国立人口研究所(INED)の研究者は、「公共政策は子どもを持ちたいカップルが望みを実現するのを助けることはできるが、子どもを持ちたいと思わせるのはずっと難しい」と指摘する。
KSM News and Research