首相府下の経済調査機関CAE(経済分析評議会)は24日、財政運営の展望に関する報告書を提出した。一定の時間をかけて財政健全化を進めるよう勧告した。
2023年に、フランスの公的債務残高の対GDP比は110%程度に上り、財政赤字の対GDP比も5.5%と大きかった。政府は2027年時点で財政赤字の対GDP比を3%以内に圧縮するとの目標を掲げているが、その実現可能性は疑問視されており、仏政府は財政健全化の道筋をつけるのに苦労している。 CAEは、経済に大きな打撃が生じないようにするため、一定の時間をかけてプライマリーバランスの黒字化を進めるよう勧告。現在、プライマリーバランスの赤字は対GDP比で3.5%に上るが、これを1%程度の黒字に転じさせることが目標となる。そのためには、1120億ユーロ程度の赤字減らしが必要になる。7年間でこの目標を達成すれば、目標達成の時点で公的債務残高の対GDP比は119%程度となり、その後は低下に転じる。CAEは、短期的に動員可能な手段として、見習い研修雇用制度への支援の削減(40億ユーロ)、法的最低賃金(SMIC)の2.5倍までで社会保険料の減免措置を打ち切る(20億ユーロ)、研究税額控除(CIR)の大手企業向け適用を打ち切る(25億ユーロ)、相続税免除措置の廃止(90億ユーロ)、を挙げた。税収増加の方法としては、時限措置による特別課税の導入や、所得区分の改定幅のインフレ率以下への抑制といった措置を挙げた。公務員のベースアップ凍結も200億ユーロ程度の節減をもたらすと指摘した。
KSM News and Research