困窮者の救済事業に尽力したカトリックの聖職者「ピエール神父」(2007年没)に性的暴行・セクハラ疑惑が浮上した。7人の女性の告発を受けて、ピエール神父が設立の3団体(エマウス・インターナショナル、エマウス・フランス、ピエール神父財団)が独立組織による調査を行い、その結果を17日に公表した。
ピエール神父は1954年冬に有名な呼びかけを行い、住居のない困窮者の救済を訴え、世論を動かした。その後も精力的に活動し、困窮者に職を与えて生活の安定化を図る目的で、廃品を回収して修理などを経て販売する事業「エマウス」を立ち上げ、また、数度に渡り下院議員を務めるなど活躍した。2007年に94才で亡くなった。
発表によると、告発した7人の女性は、1970年から2005年にかけて、「性的暴行または性的ハラスメントに類する行為」の被害を受けた。団体の職員やボランティア、知人などが被害を受けた。うち1人は事件当時に未成年者(16-17才)だった。団体側は、ほかにも被害を受けた女性からプライバシーを完全に守り証言を得るための仕組みを整え、被害者らに支援を約束した。
ピエール神父本人は、2005年のインタビューにおいて、女性と性的関係を持ったことがあると認めていたが、恒常的な関係を持たないよう努めていたなどと言明していた。また、聖職者の妻帯を認めないカトリック教会の方針に異議を唱えていた。カトリック教会にとって、ピエール神父は傍流だが社会全体への訴求力を持った存在であり、一部には偶像視をされていたこともあって、性的暴行事案の発覚に伴う打撃は大きい。
KSM News and Research