仏経済紙ラトリビューンは、エアバスと仏タレスが双方の衛星事業の統合を検討していると報じた。初期段階の協議が始まったという。両社はこの報道についてコメントに応じていない。
タレスは、67%株式を保有する子会社タレス・アレニア・スペース(TAS)を通じて、衛星建造等の事業を展開している。残りの33%株式は伊レオナルドが保有する。タレスは先に、衛星部門の従業員数8000人のうち、1300人を削減すると発表しており、フランス国内のカンヌ及びトゥールーズの工場において主に削減される予定となっている。エアバスも業績下方修正に伴い人員削減計画を9月にも発表することになっている。両社が衛星事業を統合すれば、重複している部分も多いため、かなりのコスト節減を見込める。
これまでにも、この種の統合の噂はあったが、いずれも成功していない。大手同士の合併となると、競争問題が発生して実現が難しくなる。エアバスとTASの場合は、両社合計で欧州の衛星市場において65%程度のシェアを確保することになり、欧州委員会など関連当局機関の許可を得るのは難しくなる。ただ、近年では風向きも変わってきた。欧州内でも、後発の独OHBが成長し、宇宙ベンチャーの参入も増えており、米中からの攻勢など国際競争も厳しくなっている。大手間の合併に向けての環境は以前よりは良好で、大型の合併が実現する可能性もある。