報道によると、左派連合「新民衆戦線(NFP)」に加わる4党のうちの3党(社会党、環境派EELV、共産党)が、首相候補としてローランス・チュビアナ氏を推薦する方針を固めた。左翼政党「不服従のフランス(LFI)」に提案するという。LFIはこの人選に反発している。
チュビアナ氏は女性で73才。外交官で大学教員も務めた。ジョスパン左派内閣で環境問題の顧問を務め(1997-2002年)、気候変動対策パリ条約(2015年)の交渉にも関わった。マクロン大統領がくじ引きで市民を招集して編成した気候対策全体会議の座長も務め、マクロン政権との間の関係も良好に保っている。社会党・EELV・共産党は、市民社会の代表として、また、独立した人材として、同氏の登用を推しているが、左翼政党LFIは、マクロン政権に歩み寄る人事になるとしてこの人選に反発している。15日夜の時点でまだ正式にはLFIに提案されていないといい、左派連合内で合意が得られるかどうかはまだわからない。また、この人選でLFIと他の3党との対立が鮮明になる可能性があり、3党が人選を強行すれば、左派連合は瓦解する可能性がある。3党がマクロン大統領派との連携に向かう可能性も否定できなくなる。
一方、アタル内閣は16日に最後の閣議を開き、正式に総辞職する。アタル首相をはじめ、総選挙に出馬して当選した議員らは18日に始まる下院での審議を主戦場とし、アタル内閣は職務執行内閣に移行する。どの程度の期間になるかはわからないが、パリ五輪と夏季休暇をやり過ごした後、9月中の新内閣発足を目指すという線が有力になっている。