総選挙後の内閣樹立に向けた動きが空転を続けている。最大勢力となった左派連合「新民衆戦線(NFP)」は14日までに首相候補を一本化できなかった。
首相候補選びでは、左派連合に加わる共産党が、共産党系の女性政治家であるユゲット・ベロ氏を推薦。ベロ氏はレユニオン海外地域圏の議長を務め、左翼政党「不服従のフランス(LFI)」とも共闘関係にあることから、LFIの賛同が得られる人物として浮上した。LFIを率いるメランション氏も同氏の人選を承認した。ただ、今回の選挙で顕著な復調を見せた社会党が譲らず、ベロ氏も立候補を取り下げた。社会党のフォール第一書記は、左寄りのかじ取りで復調を成し遂げた功績を盾に、自らの首相就任を求めて譲らず、合意は成立しなかった。左派連合が一枚岩ではないことが改めて確認されたことで、左派連合に本当に政権を運営する求心力があるのか、疑念が高まっている。左派連合では、下院が初招集される18日までに首相候補を擁立することを目指すとしている。
対する連立与党陣営では、アタル首相がルネサンス党の議員団団長に選出された。ダルマナン内相やボルヌ前首相の立候補を抑止した上で就任を果たした。ただ、ルネサンス党内では、右派と左派の間の対立が一段と高まっており、こちらも求心力を維持するのは困難とみられている。
他方、保守系日刊紙ルフィガロは、左派連合が政権を獲得する可能性をにらんで、国外に移住する準備を進める人が増えていると報じた。富裕者だけでなく、起業家や管理職など、より広い層が国外脱出を目指しているのだという。所得税最高課税率90%の導入、富裕税の再導入、相続税の課税強化などの展望を嫌気して、外国に資産の移転を希望する人が多いのだという。