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アトスの経営難:ラヤニ氏が買収を断念、救済案が振り出しに戻る

経営難の仏アトス(情報処理)について、救済のための買収者となることが決まっていたダビッド・ラヤニ氏が買収を断念すると26日までに発表した。これで救済計画が宙に浮いた格好になった。

ラヤニ氏はOnepoint社の経営者で、7500万ユーロを投じてアトスの株式を11%程度買い入れて、筆頭株主となっていた。投資会社バトラーとエコノコムの協力を得てアトスを一括買収することを提案し、アトスの取締役会もこの提案を受け入れていた。増資にてラヤニ氏らが1億7000万ユーロを注入し、次いで債権者団(負債額は48億ユーロ)に負担を求めて、株式への書き換え等を通じて株主構成を見直し、会社の立て直しを進めるという計画だった。報道によると、ラヤニ氏は追加で債権者団に負担を求め、債権者団がこれを拒否したことから折り合いがつかなくなり、ラヤニ氏は買収を断念したという。

ラヤニ氏のOnepoint社は企業規模がアトスに比べてごく小さく、もともと買収者の器ではないという見方もあった。最初から再交渉をするつもりで適当に条件を提示して交渉権を得たという報道もある。ラヤニ氏側では、アトス会計に追加で5億ユーロを超える欠損があることが判明したため、追加交渉が必要になったと主張しているが、債権者団の側では、そのような話は聞いていないと否定している。

ラヤニ氏の撤退により、債権者団がアトスの経営権を握る形での救済がなされる可能性が強まった。その一方で、ラヤニ氏と交渉権獲得を争ったチェコの実業家クレティンスキーは、改めて買収提案を持ち寄る考えを示しており、クレティンスキー氏復活の目もある。ただ、債権者団の大半は、事業分割を前提とするクレティンスキー氏の提案には反対しており、実現は困難とみられている。

KSM News and Research