シンガーソングライターのフランソワーズ・アルディが11日に死去した。80才だった。息子で歌手のトマ・デュトロンが12日に発表した。
フランソワーズ・アルディは対ドイツ戦が終了する1944年にパリで生まれた。飛び級で16才の時に高校卒業資格(バカロレア)を取得した聡明な少女で、褒美で買ってもらったギターで曲を作り、歌うようになった。パリ大学に進学したが、ポピュラー音楽を志し、同世代の若者たちになじめず孤立する内向的な少女の心情を単純なメロディーに乗せて歌った自作曲「Tous les garcons et les filles(男の子たち女の子たちはみんな)」(1962年)が出世作となった。儚げな容姿で時代の寵児となり、セルジュ・ゲンズブール作詞の「さよならを教えて(Comment te dire adieu)」(1968年)、ミシェル・ベルジェ作曲の「Message personnel(メッセージ)」などの名曲を世に送り出した。
2018年に発表したアルバム「Personne d’autre(ほかには誰も)」を最後に、その後はがんとの闘病が続いた。最近では、末期患者に自殺の可能性を与えるよう訴える公開状を発表していた。下院の解散が決まり、自殺を助ける可能性に道を開く「生命の終わり」法案が成立する見込みがなくなった直後というタイミングでこの世を去った。