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解散決定を受けて株安、各勢力は総選挙の準備を開始

マクロン大統領が解散総選挙を発表したのを受けて、10日のパリ株式市場CAC40指数は終値で1.35%の下落を記録。8000ポイント台を再び割り込んだ。欧州諸国よりも大きな下げ幅を記録した。また、10年物長期金利は同日に13ベーシスポイントの上昇を記録。11月以来で初めて3.22%を超えた。ドイツとのスプレッドは7ベーシスポイント拡大して55ベーシスポイントとなり、こちらは12月12日以来で最大となった。市場は不確実性を嫌うが、特に、極右RNが政権に就いた場合の経済政策に関する疑念が大きく作用している。

極右RNは総選挙での勝利に向けて、選挙協力の打診に着手した。10日夕方には、極右新党「ルコンケット」のマリオン・マレシャル筆頭候補がRN本部を訪れて、RNの実質的な指導者であるマリーヌ・ルペン氏及びバルデラ党首と会談した。マレシャル氏はマリーヌ・ルペン氏の姪で、RNを飛び出た後に、エリック・ゼムール氏が立ち上げた極右政党「ルコンケット」に合流したという経緯がある。会談の際に選挙協力の可能性が協議されたが、ルペン氏はゼムール氏とは犬猿の仲であり、ゼムール派抜きの協力であることが前提だと通知したという。RNはまた、保守野党「共和党」にも接近しているが、共和党は党として、マクロン大統領派にも、極右勢力にもなびかないことを決めている。RNが個別に議員や党員らを切り崩そうとすることは考えられる。

他方、左派勢力は10日に、極右への対抗のための大同団結を実現するための協議に着手した。左派勢力は、解散前の下院では院内会派NUPESを構成して協力していたが、このところ足並みの乱れが目立ち、事実上の分裂状態に陥っていた。欧州議会選挙でもそれぞれが候補リストを擁立。うち社会党は健闘、左翼「不服従のフランス(LFI)」は安泰、環境派は後退、共産党は議席獲得に失敗という経緯をたどっていた。社会党リストを率いたグリュックスマン氏はLFIを率いるメランション氏と折り合いが悪く、大同団結の実現は自明とはいえない。他方、労組は10日に全国で極右反対のデモを行った。15日と16日の週末にもデモを予定する。

KSM News and Research