冷え込んでいた住宅投資に回復の兆しがみえてきた。中銀発表の統計によると、住宅ローンの新規与信(再交渉分を除く)は4月に89億ユーロとなり、前月比で29%の増加を記録した。前月の3月(69億ユーロ)には、2014年以来で最低の水準まで下がっていたが、4月には増加に転じた。2022年春以来で本格的な回復の兆しが現れるのはこれが初めてだという。5月にも増加が継続する見通し。
住宅ローン与信額は2022年にごく低い水準に停滞した後、2023年には40%の大幅減を記録していた。インフレ高進を背景に、家計が購買力を失ったことが背景にある。それがようやく回復の兆しを見せ始めた。足元で欧州中銀(ECB)が0.25ポイントの利下げを決めたが、銀行はこれを見越して、住宅ローンの金利引き下げに着手しており、融資の条件がそれだけ良好になった。住宅ローン平均金利(新規与信時)は4月に3.89%となり、1月と比べて0.28ポイント低下している。5月には3.73%まで下がったものとみられている。
高騰していた住宅取引価格も、需要の冷え込みを背景に低下する傾向を示している。5月には全国平均で前年同月比5.5%の低下を記録したが、関係者らは、インフレで目減りした家計購買力を補うにはまだ不十分だとみている。