量子コンピューティングの仏ベンチャー企業Pasqalは6月6日、米コンピュータ大手IBMとの提携を発表した。IBMが進める量子を中心としたスーパーコンピューティングの実現に向けて協力する。
Pasqalは、中性原子方式による量子コンピュータの開発を進めている。IBMは、量子計算リソースと古典計算リソースにまたがって動作する量子アプリケーションの運用を要とする、量子を中心とした次世代スーパーコンピューティングの実現に向けて開発を進めており、Pasqalはこれに協力する。特に、化学分野と素材科学分野の研究に有用なアプリケーションの開発を進める。
両社は、量子計算と古典計算にまたがるワークフローを制御するソフトウェアのアーキテクチャを共同で定義する。オープンソースのソフトウェアに基づいたインテグレーションと研究界の参画を重視する考えで、両社はこのため、ドイツで技術フォーラムを共同開催し、他の地域での同様の取り組みも進める。
両社の協力には資本提携は含まれておらず、知財権の取引も予定されていない。なお、IBMは去る5月に、フランスの量子コンピューティング分野に4500万ユーロを投資する計画を発表。2025年までに50人程度のエンジニア・研究者を採用し、パリ・サクレーに2019年に設立した拠点を強化する。