下院調査委員会は27日、託児所に関する調査報告書を採択した。託児所のサービスの質の低下を問題視し、改善を求める内容となった。
託児所における子どもの虐待案件の告発が相次ぐ中で、下院は調査委員会の設置を決めた。報告書の作成は与党ルネサンス所属のタンジリ議員が担当したが、報告書の内容については、民間の託児所の問題を不問に付すのはおかしいとして、左翼政党LFI(不服従のフランス)のマルティネ調査委副委員長が異議を唱え、自ら別途報告書を公表するという異例の展開となった。
国内の託児所の受け入れ能力は50万人分程度だが、うち半分が公営で、残りは4分の1ずつが民間と非営利団体による運営となっている。調査委報告書は、運営規則がサービスの質を招く原因になっているとして、その改正を勧告。具体的には、保育士の数を、現行の子ども6人に1人ではなく、5人に1人へと増やし(2027年までに実現)、保育士の負担を減らして就労条件を改善し、人材難の解消を進めるべきだとした。このほか、企業による託児所の予約制度を廃止し、託児所のあっせんにおいて市町村が果たす役割を強化して、受け入れ希望者に公平な扱いを実現することを提案した。託児所の運営資金に企業からの徴収金を充当することも提案した。
副委員長が提出した独自報告書は、問題託児所に出された26件の閉鎖命令のうち、93%が民間託児所であることを挙げて、営利を優先する民間施設に問題が集中していると指摘する内容となった。株主が所有する不動産施設に託児所を入居させて、テナント料を得るようなやり方も見受けられると問題を提起した。