仏アルストム(鉄道機器)は8日、2024年3月期業績を発表した。増資計画をあわせて明らかにした。市場は発表を歓迎し、同社株価は同日終値で9.36%の上昇を記録した。
アルストムは、買収したボンバルディア・トランスポートの事業に足を引っ張られる形で、資金繰りの悪化に見舞われていた。2024年3月期の上半期(4-9月)にキャッシュフローは11億ユーロの赤字に転じ、純負債は36億ユーロへ膨らんだ。同社は立て直しを期して、1500人の削減と資産売却(2件で合計7億ユーロ)を去る11月に予告。これに続いて今回、財務基盤の強化を目的に、7億5000万ユーロのハイブリッド債の起債と、10億ユーロの増資を予告した。増資は良好な市況を条件に実施される。
アルストムは、格付け会社ムーディーズによる格下げの対象になる懸念があったが、ムーディーズはアルストムの発表を歓迎し、格付け(Baa3)の据え置きと、予告された2つの措置の実施を条件に、格付け見通しを「ネガティブ」から「安定」に引き上げる考えを示した。
アルストムは2024年3月期には、売上高176億ユーロに対して、5.7%の営業利益率(前年度は5.2%)を達成。純損失は特別費用が嵩んで3億900万ユーロとなり、前年の2倍以上に増大した。2025年3月期には、5%の増収、6.5%の営業利益率、フリーキャッシュフロー3億-5億ユーロの達成を目指す。