政府は3日に住宅振興法案を閣議決定した。6月中旬に上院で審議が開始される。
住宅建設は足元で大きく冷え込んでいる。住宅価格高騰に加えて、金利上昇に伴い家計の購買力不足が進んだことが背景にある。公営の低家賃住宅(HLM)の入居待ちの世帯の数は260万と過去最高に達しており、賃貸物件を探すのにも困難が増している。住居難の人の数は420万人に上るといわれる。政府はその対策として今回の法案をまとめた。
法案はまず、2100程度の都市部の自治体が達成義務を負う公営住宅建設目標(住宅建設の20-25%を公営住宅とする)について、「中間住宅」(公営住宅と民間物件の中間に位置し、家賃設定等に一定の制約が課される)の建設を以て目標達成に代えることを認めるとの規制緩和を盛り込んだ。自治体による義務達成が遅れている(2022年までの期間では7割近くの自治体が未達成)ことを踏まえて、活性化をにらんで規制を緩和するが、左派系の自治体を中心に、努力をしてこなかった自治体を優遇する内容だとする批判の声も上がっている。
法案はこのほか、HLMの入居資格の厳格化を盛り込んだ。入居資格の所得上限を18ヵ月間に渡り120%以上上回った既存入居者の退去処分(現行制度では24ヵ月に渡り150%以上上回った者が対象)と、所得上限をわずかでも上回った既存入居者に対する家賃割り増しの適用(現在は20%以上上回った者が対象)を通じて、HLMの「回転率」を高める狙いがある。さらに、市町村長の権限が強化され(HLMの入居者決定に関する権限強化等)、住宅建設に関する規制緩和や異議申し立ての制限によるプロジェクトの迅速化も盛り込まれた。