マクロン大統領は25日、パリのソルボンヌ大学を会場に演説を行い、欧州政策に関する見解を披露した。500人の招待客が集まった。
大統領は、6月9日の欧州議会選挙を意識して今回の演説を準備した。選挙では極右RNが支持率でトップとなっており、マクロン大統領は今回の演説で連立与党への支持を呼び込むことを狙った。大統領は、今日の我々の欧州は終わりを迎えることがありうる、と言明。反欧州勢力の台頭への危機感を表明すると共に、欧州を擁護するか否かは我々の選択にかかっている、と述べて、欧州議会選挙に向けて親欧州派に奮起を促した。
大統領はまた、今のままでは欧州は米中との経済競争に敗れて貧困化する恐れがあると言明。過去30年間に住民1人当たりの国内総生産(GDP)の伸び率が、欧州では米国に比べて半分に過ぎないと数字を挙げて、懸念を表明した。大統領は、将来性のある産業部門を米中が大量に資金を投入して支援しているのに、欧州は遅れを取っていると指摘。欧州議会の改選を経て欧州連合(EU)が新たな任期を迎える次の5年間が勝負になるとし、官民の巨額の投資を支えるため、EUレベルでの共同の投資プランを実現する必要があると強調した。その財源としては国境炭素調整措置や金融取引課税などを挙げた。大統領の提案については、コロナ危機時のように債務による調達に頼る必要が出てくると懸念する向きもある。大統領はまた、防衛や宇宙など戦略的部門において欧州企業を優先することや、グリーン技術や人工知能(AI)等の支援のために自由競争の規則を特例的に緩和することなども提案した。