大西洋岸のシャラント・マリティム県にあるモニュメント「フォール・ボワイヤール」の改修計画が持ち上がっている。所有者であるシャラント・マリティム県が2025年から大規模な工事に着手する方針を固めた。
フォール・ボワイヤールは、外敵からの防護を目的に、19世紀になって建設された。過去には牢獄として用いられ、海上にぽつりと堅牢な城壁が浮かんでいる様は風情がある。アラン・ドロン主演の映画「冒険者たち」(1967年)の舞台となったことでも知られ、近年は国営フランス・テレビジョンが放送のゲーム番組「フォール・ボワイヤール」の舞台として全国区の人気を保っている。
このところは気候変動の影響による大型の暴風雨の到来も増えて、建物には損傷が出始めている。倒壊から建物を守る目的で、シャラント・マリティム県は4000万ユーロ近くの予算を投じて大規模な改修工事を3年間に渡り続ける予定。工事は、城塞の両端に、保護のための新たな構造物を建設することを柱とする。片方の端には、船着き場を含む防波堤を、もう一方の端には波消しの構造物を設置する。景観が損なわれるという批判の声を意識して、県側は、1950年代以前に存在し、その後に撤去された構造物を復活させる工事だとして、より本物の姿に近くなると説明している。船着き場の整備により、これまではまったく行われていなかった城塞内の見学の組織と、それに伴う収入の確保も可能になる。