アタル首相は6日、医療へのアクセス改善を目的とする措置について説明した。数紙の地方紙に対して明らかにした。
医師不足や医療砂漠の問題など、医療へのアクセスは目に見えて悪化しており、対策が以前から急務となっている。その一方で、医療関係者らは、予算節減の流れの中で反発を強めており、舵取りは困難の度を増している。首相はその中で、一連の措置を予告し、政府として努力する姿勢を国民にアピールすることを狙った。
具体的には、まず、心理カウンセラーの利用促進を目的とする制度の適用拡大を予告。払い戻し対象の診察料を1回30ユーロから50ユーロに引き上げ、年間の回数の上限も8回から12回に引き上げる。かかりつけ医の紹介なしに、患者が直接に心理カウンセラーを利用できるようにする。6月から適用を開始する。政府は1000万ユーロの追加予算を見込む。
医師の予約を守らなかった患者から、1回につき5ユーロを徴収する制度も導入される。医師の収入欠損を防ぎ、医師の「稼働率」を高めて医療へのアクセスを改善する狙いがある。5ユーロの制裁金は、予約プラットフォームや医師本人が徴収し、医師の収入とする。当日より24時間前までに変更や取り消しがなされなかった場合に徴収される。医師本人が課金の是非を決める任意制度として、2025年年頭にも導入する。
このほか、やはり任意制度として、看護師、歯科医、助産師にも当直・夜勤制を導入する。また、一部の抗生物質について、医師の処方を不要として、薬剤師が処方を決めることができるようにする。マッサージ療法の利用について、医師の処方を不要とする試験制度を一部地方で導入する。医師の育成については、2023年の1万800人に対して、2025年に1万2000人、2027年に1万6000人へと順次増やす。欧州連合(EU)域外で資格を取得した医師の受け入れも拡大する(2024年に2700人)。