仏政府はEDF(仏電力)に核兵器用の物質生産を依頼することを決めた。シボー原子力発電所の原子炉を利用してトリチウムを生産する。ルコルニュ軍隊相が発電所地元のビエンヌ県を訪問した際に明らかにした。
トリチウムは、シボー発電所の原子炉2基を用いて生産される。ターゲットを炉心に組み入れて電力生産の通常の運転(7ヵ月間程度)を行い、回収してCEA(仏原子力庁)に引き渡す。来年に開始を予定する。
トリチウムの生産はCEAが自前の設備で行ってきたが、EDFへの委託を通じて生産能力の冗長性を確保する。発電用原子炉のこの種の利用法は米国では例があるが、フランスではこれが初めてとなる。1990年代から構想があり、長期的な計画に即したものだと軍隊省では説明しているが、足元のロシアとの対立を背景にして実施を決めたものとみられる。シボー原子力発電所が選ばれたのは、最も新しい発電所であり、残余の運転期間が最も長いことが決め手になったという。